探偵業と個人情報保護法

探偵興信所業と個人情報保護法について

探偵興信所業は探偵業法という法律が施行され、法的に認められた業ですが、個人情報保護法に抵触するのではないかという疑問を持たれる方は多いと思います。以下に、警察庁生活安全局が、2005年4月に個人情報保護法が完全施行される直前の同年2月の段階で、「興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」として定めた内容になります。この措置の特例により、浮気調査、家出人捜索、結婚調査、身元調査、ストーカー調査、信用調査等の探偵業務が行えるようになりました。

興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針

第1 目的
この指針は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の施行にあたり、興信所業者において個人情報の取扱いに関し講ずることが望ましい措置について定めることを目的とする。

第2 用語の定義
この指針において使用する用語は、法において使用する用語の例によるほか、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる。

ア 調査業務 他人(個人である者に限る。以下同じ。)の生命、身体、財産その他の権利利益の保護のために必要な人の所在又は行動に関する事項について、当該他人の需要に応じて調査をし、その結果を当該他人に報告する業務

イ 興信所業 調査業務を行う営業
ウ 興信所業者 興信所業を営む者
エ 依頼者 興信所業者にアの事項について調査を依頼した者
オ 対象者 依頼者が興信所業者にアの事項について調査を依頼をした場合において、当該調査の目的となる人

第3 興信所業者が講ずべき措置の特例
1 興信所業者がよるべき指針
個人情報を取り扱う興信所業者は、個人情報取得事業者であるかないかにかかわらず、個人情報取得者に係る法及び国家公安委員会が所轄する事業を行う者等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する指針(平成16年国家公安委員会告示第31号。以下「告示」という。)の規定並びにこの指針に従い、個人情報の適正な取扱いを計ること。

2 依頼者の個人情報の取扱いに関する特例
(1) 保存期間
興信所業者は、依頼者の個人情報保護の保存期間を設けるとともに、依頼者に明確に示すこと。

(2) 第三者提供の制限
興信所業者は、第三者に提供される個人データに係る告示第4の2(5)エにより、依頼者の同意を得ずに依頼者の個人データを第三者に提供しようとするときは、あらかじめ告示第4の2(5)エ(ア)から(エ)までに掲げる事項を依頼者に直接通知すること。

3 対象者の個人情報の取扱いに関する特例
(1) 利用目的の特定
ア 興信所業者は、取得した対象者の個人情報を依頼者に報告する目的以外の目的で利用しないこと。
イ 興信所業者は、依頼者における対象者の個人情報の利用目的を確認し、その利用目的が次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、対象者の個人情報を取り扱わないこと。
(ア)依頼者における対象者の個人情報の利用目的が社会的差別の原因となるものであるおそれがあるとき。
(イ)依頼者における対象者の個人情報の利用目的がストーカー行為等の規制に関する法律(平成12年法律第81号)第2条の「つきまとい等」目的その他違法なものであるおそれがあるとき。
(ウ)依頼者における対象者個人の個人情報の利用目的が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項の被害者の所在の調査の目的その他不当なものであるおそれがあるとき。

(2) 適正な取得(法第17条)
興信所業者は、依頼者の依頼に基づく対象者の個人情報の取得にあたって、盗聴器を使用するなどとるべき調査方法が法令に触れるあるいは当該調査方法によって法令に触れる結果を生じることがないようにするため、必要な措置を講ずること。

(3) 利用目的の通知(法第18条)
興信所業者が対象者の個人情報を取得した場合において、「利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合(法第18条第4項第1号)」に該当し、 その利用目的の対象者への通知等をしなくてもよい場合としては、次の場合が考え得ること。

(ア)対象者が依頼者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)である場合であって、当該対象者について民法(明治29年法律第89号)第752条の義務その他の法令上の義務の履行を確保するために必要な事項について調査を行うとき。
(イ)対象者が依頼者の親権に服する子である場合であって、依頼者が当該対象者に関し民法第820条の権利その他の法令上の権利を行使し、又は義務を履行するために必要な事項について調査を行うとき。
(ウ)対象者が依頼者の法律行為の相手となろうとしている者であって、当該法律行為をするかどうかの判断に必要な事項について調査を行うとき。
(エ)依頼者が犯罪その他の不正な行為により被害を受けている場合であって、当該被害を防止するために必要な事項について調査を行うとき。
(4)対象者の個人情報の利用の制限
興信所業者は、対象者の個人情報について検索することができるように体系的に構成した個人情報データベース等を原則として保有しないこと。

(5) 利用目的達成後の破棄
興信所業者は、対象者の個人情報について依頼者に報告したことにより利用目的を達成したときは、速やかに対象者の個人情報を破棄すること。

第4 事業者団体の取組み
1 興信所業者をその構成員に有する団体(以下「事業団体」という。)及び事業者団体をその構成員に有する団体(以下「事業者団体等」という。)は、その構成員である興信所業者(事業者団体をその構成員に有する団体にあっては、事業者団体の構成員である興信所業者。以下同じ)が法、告示及びこの指針に従い、個人情報の適正な取扱いの確保に積極的に取組むよう、啓発、情報の提供その他の措置を講ずるよう努めること。

2 事業者団体は、その構成員である興信所業者に係る依頼者又は対象者からの苦情を受け付ける窓口を設け、苦情に適切に対応し、問題の解決を図るよう努めること。

3 事業者団体は、その構成員である興信所業者に法、告示又はこの指針に違反する行為があると認めたときは、当該興信所業者に対して必要な改善を求め、又は必要な処分を行うこと。

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